こんにちは。管理人のキノです。
【Review】では、最近読んでおもしろかった作品をご紹介しています。
今回ご紹介するのは、小説「失われたものたちの本」(ジョン・コナリー著)です。
全米図書館協会アレックス賞を受賞した作品で、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」に影響を与えたと言われています。
小説の舞台は第二次世界大戦下のイギリス。
孤独に苛まれている少年が異世界に迷い込み、元の世界に戻るべく奮闘する異世界冒険譚です。
童話のような優しい文調に対し、描かれている世界観は残酷なため読む人を選ぶ作品だと思いますが、とても読み応えがあります。
どっぷり本の世界に入り込めること間違いなしなので、秋の夜長のお供におすすめの小説です。
あらすじ
母親を亡くして孤独に苛(さいな)まれ、本の囁(ささや)きが聞こえるようになった12歳のデイヴィッドは、死んだはずの母の声に導かれて幻の王国に迷い込む。赤ずきんが産んだ人狼、醜い白雪姫、子どもをさらうねじくれ男……。そこはおとぎ話の登場人物たちが蠢(うごめ)く、美しくも残酷な物語の世界だった。元の世界に戻るため、少年は『失われたものたちの本』を探す旅に出る。本にまつわる異世界冒険譚。
引用元:東京創元社「失われたものたちの本」
おすすめ度&おすすめしたい人
おすすめ度 ★★★★☆ |
主人公の心情をじっくり考えたい人にうってつけの小説です。
世界観が残酷なため好き嫌いが分かれるかもしれませんが、人を妬んだり憎んでしまったことがある人には心に沁みる作品だと思います。
特に、孤独に苛まれていたり、負の感情を持て余している思春期の若者におおすすめしたい作品です。
- 孤独感に苛まれている人
- 負の感情を持て余してしている思春期の若者
- ダークなビブリオファンタジーが好きな人
感想
素直な感想は?
なかなか読み進められなくて、何度も読むのをやめようと思いました。
でも、最後まで読んで本当によかったです。
この本は、愛情を求め、それが故に誰もが持ちうる憎悪や嫉妬心を心に抱えた少年が、己に打ち勝って成長する姿を描いた物語です。
前半で描かれている現実生活で、デイヴィッドがどのような感情を抱いていたか。
デイヴィッドの考え方に影響を与えていたものは何なのか。
後半の異世界で出会う人物や物語は何を意味しているのか。
冒険を通じてデイヴィッドがどう変わっていくのか。
訳者があとがきで述べているように『前半で語られるデイヴィッドの現実生活と、後半のファンタジックな要素とを、線で結びつけながら読み進める』と、この物語を読む楽しさが深まると思います。
異世界でデイヴィッドが遭遇する人物やお話が、現実世界のデイヴィッドの何を表しているのかを考えながら読むと、とてもおもしろいです。
子供にすすめられる?
「失われたものたちの本」は12歳から18歳のヤングアダルトに特に薦めたい大人向けの本10冊」に1年に1度送られる全米図書館協会アレックス賞を受賞している作品なのですが、世界観が残酷なため子供に読ませたくないという意見もネット上では見られます。
ですが、私個人としては思春期にこそ心に刺さる本だと思いました。
(優しい童話が好きな子は好んで読まないだろうし、そんな子におすすめするつもりは断じてありませんが。)
子供だって残酷な世界に生きているし、憎悪や嫉妬心を抱いて他人を傷つけたいと思うこともあると思うからです。
子供というだけで純真さや清廉さを求められたら、私だったら苦しい。
誰しも残虐な面を持ちうることを認めること。
自分に降りかかる残酷な現実を乗り越えて自分の人生を生きること。
人は皆、大人になる過程で不完全で醜い自分と向き合うものだと思いますが、この本はその手助けをしてくれる本だと思います。
感想メーター
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まとめ
今回は、小説「失われたものたちの本」(ジョン・コナリー著)を紹介しました。
全米図書館協会アレックス賞を受賞しただけあり、読み応えのある素晴らしい作品です。
大人になる過程で直面する人間の醜い側面を優しい物語口調で丁寧に描いています。
世界観が残酷なため読む人を選ぶかもしれませんが、どっぷり本の世界に入り込めること間違いなしのおすすめの小説です。
気になった方は、ぜひ手に取って読んでみてください。