【Review】では、「気分に合う作品を紹介する」という本ブログのテーマから少し離れて、読んで面白かった本をご紹介します。
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「准教授・高槻彰良の推察」シリーズ/澤村御影
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基本情報
タイトル | 准教授・高槻彰良の推察 |
著者 | 澤村 御影 |
出版社 | KADOKAWA |
あらすじ
「怪異は、現象と解釈によって成り立つんだよ、深町くん」
人の嘘がわかる耳を持ち、それゆえに孤独になってしまった大学生・深町尚哉。なんとなく受講した「民俗学2」のイケメン准教授・高槻になぜか気に入られ、怪異に出会うとついテンションが上がってしまう彼の「常識担当」として助手をすることに。
親しくなるにつれて尚哉は、高槻の瞳が時々夜空のような青色に変わることや超記憶能力を持っていることなどを知る。
実は高槻もまた、幼い頃に奇妙な体験をしていたのだ……。
引用元:KADOKAWA文芸WEBマガジン カドブン「准教授・高槻彰良の推察」シリーズ
感想
このシリーズの主人公は、大学生の深町尚哉とイケメン准教授の高槻彰良。
嘘が分かる耳を持つが故に孤独に生きる尚哉と、怪異現象に遭遇するとテンション爆上がりする残念イケメンの高槻が、怪異や都市伝説の謎を解決していく物語です。
シリーズ1作目を読む前は『イケメンが華麗に謎を解いていく、よくある話』なんじゃないかと思っていました。
でも、それだけじゃなかった!
謎解きはもちろんおもしろいのですが、私は以下の点に魅力を感じました。
- ゾクゾクする怖さ
- 孤独感を和らげてくれる
- 民俗学に触れられる
【魅力1】ゾクゾクする怖さ
高槻先生は面白い怪異談があると尚哉と共に調査に向かいます。
ほとんどの場合、怪異談は本物ではありません。
ですが、2人はまれに本物の怪異にも遭遇します。
これが意外と怖いのです。
小説の導入部分で、高槻先生が都市伝説などを例題に怪異の解説をしてくれるのですが、その際に学術的(理性的)な解釈を頭に入れるからか、説明のできない現象に怖さを感じます。
そして自分の日常の中にも異質なものが存在しているのではないかと、だんだん怖くなる。
本当に死者の祭があったら?
鏡の向こう側が死者の世界とつながっていたら?
自分の世界とあの世の境界線が意外と曖昧な気がして、背筋がヒヤッとする。
ホラー小説のような圧倒的な怖さはありませんが、理性で説明できない現象にゾクゾクした怖さを感じます。
【魅力2】孤独感を和らげてくれる
尚哉は人の嘘が分かる耳を持っているが故に、人と距離を置いて生きています。
四六時中他人の嘘を聞き続けるのは辛いし、嘘を見抜けることがバレて、恐ろしい存在だと思われるのも辛い。
だから尚哉は学生時代も一人で過ごしてきたし、これからも一人で過ごしていくつもりでいます。
でも、高槻先生と出会うことで、尚哉が少しずつ変わっていきます。
シリーズ7作目でもまだ孤独を抱えてはいるけれど、1作目に比べると尚哉は周囲に大切なものが増えている。
尚哉のような孤独感を抱えている人はいないでしょうが、きっと誰しも孤独を感じたことはあるでしょう。
孤独を知る人には、尚哉に共感できる箇所がたくさんあると思います。
そして、尚哉に共感することで、読んでいる人の孤独感も和らぐ。
このシリーズは謎解きの面白さ、ゾクゾクする怖さに加えて、読者を包み込んでくれる優しさを持つ作品です。
【魅力3】民俗学に触れられる
高槻先生の授業のシーンは、まるで本当に大学で授業を受けているかのよう。
私はこのシリーズを読むまで『民俗学=郷土史や伝承を対象に行う学問』だと思っていたので、怪異や都市伝説も学問対象であることに驚きました。
高槻先生いわく、都市伝説や怪談は『現象』が起こり、それを『解釈』することで成立するそうです。
作品の中では、高槻先生が『現象』と『解釈』という点から、江戸時代の怪談や昭和の都市伝説などについても解説してくれます。
ちょっと学術的な説明をした上で怪異に触れていくので、ただ単にフィクションとして怪異を語られるよりも面白く感じられます。
おすすめ度&おすすめしたい人
おすすめ度 ★★★★☆ |
- 民俗学に触れてみたい人
- ゾクゾクした怖さを感じたい人
- 孤独感を抱えている人
お得に読む方法
BOOK☆WALKER
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まとめ
「准教授・高槻彰良の推察」シリーズは、嘘が分かる耳を持つ大学生の尚哉と、怪異を専門とするイケメン准教授の高槻が、怪異や都市伝説の謎を解決していく物語です。主人公たちの軽快なやり取りが面白く、サクッと読み進めることができます。その上、謎解きのわくわく感と怪異のゾクっとした怖さも味わえる作品です。ぜひ、読んでみてください。
関連作品情報
「准教授・高槻彰良の推察」シリーズは文庫、コミック、ドラマで楽しむことができます。
文庫
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2024年4月2日現在、「准教授・高槻彰良の推察」シリーズには本編10作、番外編2作の文庫があります。
「准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき」
「准教授・高槻彰良の推察2 怪異は狭間に宿る」
「准教授・高槻彰良の推察3 呪いと祝いの語りごと」
「准教授・高槻彰良の推察4 そして異界の扉がひらく」
「准教授・高槻彰良の推察5 生者は語り死者は踊る」
「准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影」
「准教授・高槻彰良の推察7 語りの底に眠るもの」
「准教授・高槻彰良の推察8 呪いの向こう側」
「准教授・高槻彰良の推察9 境界に立つもの」
「准教授・高槻彰良の推察10 帰る家は何処に」
「准教授・高槻彰良の推察EX」
「准教授・高槻彰良の推察EX2」
コミック
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2023年5月25日現在、販売されている「准教授・高槻彰良の推察」シリーズのコミックは6巻です。
「准教授・高槻彰良の推察 1」
「准教授・高槻彰良の推察 2」
「准教授・高槻彰良の推察 3」
「准教授・高槻彰良の推察 4」
「准教授・高槻彰良の推察 5」
「准教授・高槻彰良の推察 6」
ドラマ
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「准教授・高槻彰良の推察」シリーズはWOWOWと東海テレビによる共同製作で連続ドラマ化されています。2024年2月22日現在、WOWOWオンデマンド